多彩な「光」に魅せられる
麻生区観光写真コンクール審査委員長 和光大学教授 小関 和弘
コロナ禍のために応募が少ないのか、それとも多くなるのか、気に掛けていましたが、応募条件の撮影年月枠を廃してみた影響もあるのか、前回(2018年度)より80点以上多い236点(「子どもの部」を含む)の作品をお寄せ頂きました。この場を借りて御礼を申し上げます。
一次、二次と二段構えで審査を進めました。一次審査で40点ほどに絞りましたので、入賞作をスンナリ決められるかと思っていましたが、さにあらず。応募数の多さだけでなく、優れた作品が多く、審査員一同は首をひねったり、アタマを抱えたり、、、予想以上の時間をかけて選ぶことになりました。
麻生らしい観光写真を選びましたが、ご覧になる方の中には「これが観光写真?」と首を傾げる方がいらっしゃるかも知れない作品があるかと思います。
観光と言うと、名勝、旧蹟を訪れることと理解されることが多いと思いますが、「募集要項」のなかに記した「麻生区の多彩な顔とその魅力を紹介したもの」との文言に即して、多彩な作品を選んだ結果だとお考え下さい。
見慣れた光景や事物を違った視線、違った姿勢——それは「こころの姿勢」ということです——で見た時に、小さいかも知れませんが、きっと発見があるはずです。観光とは元々の典拠『易経』に遡れば、「光を観ること」です。そして「光」とは、真っ暗闇を除けば、あらゆるところに満ちています。その「光」とは、突き詰めれば、事物や存在の本http://asaophoto.net/wp/wp-admin/post.php?post=682&action=edit#category-add源的な輝きということだろうと思います。そのように「光を観」たいものです。
入賞した作品それぞれには構図の工夫、光の捉え方、シャッターボタンを押すまでの「待ち」の時間などなど、様々な努力が刻まれています。そして、もう一つ大切なのは、写した複数の写真のなかかから、「これを!」と選び出して応募すると決断したセレクションの素晴らしさもあるということです。
それぞれの写真にはそれぞれの被写体が写っています。その被写体のすがた形や色合いを見つめるだけでなく、レンズのこちら側にいた撮影者のドキドキ感や緊張感をも含めて、私たち審査員は、さまざまな「光」に魅せられたのでした。